「世の中は明らかに「アリストクラシー」の時代に逆戻りしています。あるいは教育学者の志水宏吉さんが『ペアレントクラシー「親格差時代」の衝撃』(朝日新書/2022年)で明晰に論じているように、親の経済状態や成育環境もしくは教育計画が、子の成長に決定的な影響を及ぼす時代に変容しているのです。
親の「経済状態」と「願望」が、親子の「選択肢」を増幅させる社会。だからこそ親に「経済状態」の欠落があれば、どれほど「願望」があれど、子の「選択肢」は限られてきます。そうした社会背景的文脈を無視して、「最近の若者は結婚に対する意欲がない」「子を生み育てる気がない」と、安易に嘆くことはできません」