相対性理論。
「(一九一一年一月一六日チューリッヒの自然科学会席上の講義)「相対性理論」と名づけられる理論が倚りかかっている大黒柱はいわゆる相対性原理[#「相対性原理」は底本では「相対性理論]です。私はまず相対性原理とは何であるかを明らかにしておこうと思います。私たちは二人の物理学者を考えてみましょう。この二人の物理学者はどんな物理器械をも用意しています。そして各々一つの実験室をもっています。一人の物理学者の実験室はどこか普通の場所にあるとし、もう一人の実験室は一定の方向に一様な速さで動く汽車の箱のなかにあるとします。相対性原理は次のことを主張するのです。もしこの二人の物理学者が彼等のすべての器械を用いて、一人は静止せる実験室のなかで、もう一人は汽車のなかで、すべての自然法則を研究するならば、汽車が動揺せずに一様に走る限り、彼等は全く同じ自然法則を見出すでありましょう。幾らか抽象的にこう云うことも出来ます。自然法則は相対性原理によれば基準体系の併移運動に関しません」
アルベルト・アインスタイン 石原純訳 相対性理論 https://www.aozora.gr.jp/cards/001428/files/50328_64360.html