チャレンジする文化がなくなってたのかな。
「米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツがAIBOの評判を聞きつけて、「1台ほしい」と私のところに打診が来たんだ。だけど、その時は注文が殺到していて生産が追い付かない状況。いくらゲイツのような超有名人とはいえ、もう気軽にプレゼントできるような状態ではなかったんだ。そうしたら今度は、ゲイツは出井さんのところにお願いしたんだな。でも出井さんはAIBOの開発に反対していた手前もあるからか、直接、私には相談しにこない(笑)。出井さんは安藤(国威、ソニー社長などを歴任)さんに相談して、安藤さんから私の部下に話が来て、部下から私はその相談を聞くという、まどろっこしいことになったんだ」
「時代遅れという批判の中でAIBOは生まれた」 (5ページ目):日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/interview/16/031800001/061000010/?P=5
「これだけ国内外で反響を呼んだ商品だったし、ビジネスのやりようはいかようにも考えられたはず。だけど、AIBOの試作機のデモを見せた時から商品化に猛反対をし続けていた出井さんは、世の中の反響の大きさよりも、自分のメンツを重視していた。そして、ずっと反対し続けていたね。象徴的なのはこの言葉。「21世紀の技術を開発してほしかったのに、ロボットなんて19世紀のテクノロジーだ」と、僕は出井さんから言われ続けていた。AIBOの製品発表の前にも出井さんからそう言われたことを、よく覚えているよ。でもさ、19世紀のテクノロジーどころか、今まさに世界中でAIとロボットのブームが巻き起こっているよね。あの時のソニーには確かに、ロボットやAIの最先端技術があったんだ」
「時代遅れという批判の中でAIBOは生まれた」 (5ページ目):日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/interview/16/031800001/061000010/?P=5
「AIBOの開発責任者、土井利忠の述懐」
「“努力の賜物”を、いざ経営会議で説明すると、盛り上がるどころか役員たちの反応はほとんど嘲笑に近かったんだ。「なんで、こんなおもちゃを作るんだ」とか。とにかく酷い反応だったな。それは1995年以降の話。その時はもう出井(伸之、ソニーの会長兼CEOなど経営トップを歴任)さんが社長になっていて、彼を筆頭に反対の声が大勢を占めていた」
「時代遅れという批判の中でAIBOは生まれた」 (4ページ目):日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/interview/16/031800001/061000010/?P=4
「大賀さんは社内の大反対の中でプレステを成功させたけど、ソニー・ミュージックとの共同出資でソニー本体とは別の会社を作った。ソニー本体の雑音が入らないようにという配慮と、頭の柔らかいソニー・ミュージックのカルチャーを入れたかったからなんだ」
「同じ大反対の中での商品化でも、プレステを推進していた大賀さんが経営トップにいた時と、AIBOに大反対の出井さんが経営トップの時では、その後の展開は大違い。AIBO商品化に向けた共同出資会社の設立構想は、ソニー本体の経営会議であっけなく却下されてしまった」
「時代遅れという批判の中でAIBOは生まれた」 (4ページ目):日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/interview/16/031800001/061000010/?P=4