「お金を神様に向かって投げるのは、考えてみればずいぶん失礼なしきたりだ。しかし大学に移るまで国立歴史民俗博物館などで研究を続けてきた新谷教授は、お金には貨幣としての経済的意味と経済外的意味があると指摘する。各地の古くからの祭事などでは、お金が人の身代わりとして「ケガレ」を引き受ける風習が残っているという。「お金はケガレの吸引装置」(新谷教授)というわけだ。」
「「ケガレたものを投げ捨てることで、投げた本人は祓(はら)え清められる。きれいな心身で神の前に立つことができる」(新谷教授)。銭洗い弁天などでお金を水で洗うのも同じ理屈で、確かにこれで貨幣価値が上がるわけではない。欧州にもローマの「トレビの泉」にコインを投げて幸運を願うなど似た習慣があるという。ちなみに「大きな金額のお金を賽銭で投げてもあまり意味はない」と新谷教授は言う。お賽銭はあくまでもお祓いのためであって、御利益を購(あがな)うわけではないからだ。」
日本人はなぜ賽銭を投げる 意外に知らぬ正月作法 歴史豆知識 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK26H5I_W4A221C1000000/